Visa Business and Economic Insights ‐Global Economic Insight:
FIFAワールドカップ26™:大会中盤で見えた8つの主要なデータインサイト

08/18/2026

*本インサイトは2026年7月に米国にて公開されたVisa Business and Economic Insights-Global Economic Insight(https://usa.visa.com/partner-with-us/visa-consulting-analytics/economic-insights/fifa-world-cup-2026-eight-key-data-takeaways.html)の抄訳です。

 


FIFAワールドカップ26™の開催地として最も強く想起されるのは開催国ですが、同大会はデジタルを通じて世界の隅々にまで広がり、その影響は開催国にとどまりません。10億人を超えるファンがテレビ、モバイル端末、ストリーミングプラットフォームを通じて観戦し、多くの人々が試合を観戦するために日々の行動パターンを調整しました。自分の応援するチームに熱中し、試合の時間に合わせて予定を変え、友人や家族と集まるファンのエネルギーは、ピッチ上の選手たちに匹敵するほどでした。

試合そのものについては、すでに多くのストーリーが語られています。一方で、Visaの支出データからは、異なるストーリーが見えてきます。それは、ファンが自宅、職場、お気に入りの場所など、開催地から離れた場所でどのように大会に参加していたかというストーリーです。Visa Business and Economic Insightsは、開催国を除く80カ国以上の集計取引データを用い、ファンが早朝から深夜にかけて、カードを差し込み、タッチし、スワイプし、オンラインでクリックしたのかを分析しました。これにより、大会中盤という、決勝に向けて勢いが高まりつつもまだピークには達していない時期に、これらの試合が消費者に与えた影響を把握しました。そこから見えてきたのは、ある意味ではなじみのある光景です。友人や家族が地元のパブ、レストラン、バーに集まり、ゴールのたびに喜びや落胆を分かち合う姿です。同時に、電子決済が、消費者がそれぞれにとって最も便利な場所で試合を楽しむことを支えていたというストーリーでもあります。以下は、データから得られた8つの主要インサイトです。
 

インサイト(1):平日開催の試合は、週末開催の試合と比べて、消費者の購買が1.5倍増加¹

意外に思われるかもしれませんが、週末ではなく平日に開催された試合の方が、通常の日と比較して、支出をより大きく押し上げました。ここでは、試合をキックオフ前後3時間と定義しています。この結果は、試合が、本来であれば消費者が時間を使いやすい週末に発生していた支出を、より日常的で予測可能な支出が中心となる平日に移動させる力を持っていたことを示しています。日々の支出額だけでなく、さまざまなカテゴリーにおいて、いつ支出が行われるかという点も変化しました。


インサイト(2):プライムタイムに試合をライブ観戦したファンによる外食関連支出は62%増加

ファンがどのように試合を観戦したかは、それぞれの国において試合がライブ中継された時間帯と密接に関係していました。試合がプライムタイムや深夜など、人々が通常リラックスして過ごす時間帯に行われた場合、ファンは自宅の外に集まり、一緒に試合を観戦する傾向がみられました。一方、早朝に行われた試合では逆の傾向がみられました。これらの違いをより正確に把握するため、本分析では各市場におけるキックオフ時刻を基準に分析を行い、試合が放映された時間帯ごとに分類しました。なお、プライムタイムとは20時から23時の間に視聴された試合を指します。早朝の試合では、ファンは試合を見てから出勤するために朝の活動開始を遅らせ、自宅で過ごす時間を長くしたと考えられ、その結果、支出は比較的弱い傾向となりました(下図参照)。

出典:Visa Business and Economic InsightsによるVisaNetデータ分析
このヒートマップは、試合開催日におけるレストラン、バー、コーヒーショップでの購買件数を、通常日と比較した増加率(キックオフ時刻を基準とした時間別の変化率)で示しています。縦軸は、試合が放映された現地時間帯別(早朝、日中、夕方、プライムタイム、深夜)の試合区分を表し、横軸はキックオフ12時間前から11時間後までを、試合前・試合中・試合後の期間に分けて表示しています。色分けは、通常日との差を「マイナス5%未満」、「マイナス5%以上プラス5%未満」、「プラス5%以上プラス15%未満」、「プラス15%以上」の4区分で示しています。最大値は62%で、プライムタイムに放映された試合において、キックオフから6時間後に記録されました。


インサイト(3):早朝開催の試合に備え、事前に準備を進めたファンにより、フードデリバリーと食料品のオンライン購入は68%増加

早朝の試合を観戦したファンは、レストランでの対面支出だけを見ると、他の時間帯の試合ほど消費行動の変化が見られなかったように見えるかもしれません(上図参照)。しかし観戦スタイルは大きく異なっていました。早朝の試合に向けた事前準備という点では、彼らは非常に積極的でした。ファンはオンラインアプリやデリバリーサービス、デジタル決済を活用し、試合が始まる何時間も前から、自宅に十分な食料や必要なものを揃えていました(下図参照)。
 

出典:Visa Business and Economic InsightsによるVisaNetデータ分析。
このヒートマップは、試合開催日におけるフードデリバリーおよび食料品のオンライン購入に関する購買件数を、通常日と比較した増加率(キックオフ時刻を基準とした時間別の変化率)で示しています。縦軸は、試合が放映された現地時間帯別(早朝、日中、夕方、プライムタイム、深夜)の試合区分を表し、横軸はキックオフ12時間前から11時間後までを、試合前・試合中・試合後の期間に分けて表示しています。色分けは、通常日との差を「マイナス5%未満」、「マイナス5%以上プラス5%未満」、「プラス5%以上プラス15%未満」、「プラス15%以上」の4区分で示しています。最大値は68%で、早朝開催の試合において、キックオフ7時間前に記録されました。


インサイト(4):日中に試合が開催された地域では、試合開始直前にオンラインエンターテインメント関連支出が86%増加

日中に試合が開催された地域では、支出行動の変化は比較的小さいものでした。午前9時から午後5時までの勤務時間中に試合を観戦しなければならなかったファンにとっては、仕事をしながら試合結果のネタバレを避けることも、観戦体験の一部でした。週末であっても、試合観戦に時間を使うことで、食料品の買い出しや家事など、普段の週末のルーティンに充てる時間が減少しました。
しかし、仕事と余暇が競合するこうした地域においても、オンラインエンターテインメント関連支出には大きな変化が見られました(下図参照)。ファンは、単発の視聴パスを購入したり、ストリーミングサービスに加入したり、インターネット環境をアップグレードしたりしていました。
 

出典:Visa Business and Economic InsightsによるVisaNetデータ分析。
*対象にはレストラン、クイックサービスレストラン、食料品・食品専門店、小売商品、エンターテインメント関連支出が含まれます。
このヒートマップは、「全体の支出」と「オンラインエンターテインメント関連支出」の2つのカテゴリーについて、試合開催日における購買件数を通常日と比較した増加率(キックオフ時刻を基準とした時間別の変化率)で示しています。横軸はキックオフ12時間前から11時間後までを、試合前・試合中・試合後の期間に分けて表示しています。色分けは、通常日との差を「マイナス5%未満」、「マイナス5%以上プラス5%未満」、「プラス5%以上プラス15%未満」、「プラス15%以上」の4区分で示しています。最大値は86%で、オンラインエンターテインメント関連支出において、試合開始1時間前に記録されました。


インサイト(5):ノルウェー対ブラジル戦では、10カ国中7カ国以上で支出が増加

ベスト16の試合の中で、ノルウェー対ブラジル戦は、飲食関連支出の増加が最も広く見られた試合でした(下図参照)。自宅で観戦していたか、外出先で観戦していたかに関わらず、オスロからアルマトイまで、多くのファンがこの試合に熱狂しました。この試合中、70%を超える国々で、食品および飲食サービスに対する支出の増加が確認されました。さらに、この試合がプライムタイムに放映された国々に限ると、96%の国で支出が増加しました。
 

 

出典:Visa Business and Economic InsightsによるVisaNetデータ分析。
この世界地図は、ノルウェー対ブラジル戦の試合中における購買件数の変化率を、通常日と比較して示しています。各国・地域は色付きの円で表示されており、通常時と比較した取引活動の増減幅を表しています。変化率は「0~40%」「40~80%」「80~120%」「120~160%」「160%以上」の5区分で示されています。また、凡例では通常時を上回った場合と下回った場合を区別しています。地図上部には各地域におけるキックオフ時刻(01:00~22:00)が表示されており、ノルウェーは172%増として示されています。


インサイト(6):ノルウェー対ブラジル戦開催時、ノルウェー国内の支出額は143%増加

ノルウェー対ブラジル戦は、世界中の注目を集める条件が揃った試合でした。ブラジルは、これまで全てのFIFAワールドカップ™に出場してきた世界有数のサッカー強豪国であり、一方のノルウェーは1998年以来初の準々決勝進出を目指していました。こうした背景に加え、アーリング・ハーランド選手への注目の高まりや、ノルウェー代表サポーターによる「バイキング・ロウ(Viking Row)」へのソーシャルメディア上での関心も追い風となり、大会を通じてノルウェー代表への期待が高まりました。

その熱狂は消費行動にも表れており、ノルウェー代表が勝ち進むにつれて、国内支出は段階的に増加しました(詳細は英語のフルレポート参照)。


インサイト(7):ベスト16の各試合を通じて、フランスのファンによる食品・飲食サービス関連支出は22%増加(中央値)

ベスト16期間中における支出増加の大きさと継続性で見ると、最も高い熱量を示したファン層はフランスでした(下図参照)。フランス代表が最初に準々決勝進出を決めると、ファンの関心は、準決勝に進出した場合の対戦相手へと移りました。ポルトガル対スペイン戦および米国対ベルギー戦では、フランス国内で特に大きな支出の増加が見られました。

支出データから見たファンの熱量という点では、アゼルバイジャンがフランスに次ぐ結果となりました。特にモロッコ対カナダ戦では、アゼルバイジャンの支出増加は他国を大きく上回りました。
 

出典:Visa Business and Economic InsightsによるVisaNetデータ分析。
この横棒グラフは、ベスト16の各試合における国内の食品・飲食サービス関連支出の増加率中央値を、通常時と比較した変化率で示しています。対象国は増加率の高い順に、フランス(22%)、アゼルバイジャン・ポルトガル・スペイン(各19%)、ギリシャ(18%)、カザフスタン(17%)、スイス・ハンガリー・ルーマニア(各13%)、イタリア(12%)となっています。


インサイト(8):2026年6月の米国個人消費支出(PCE)成長率を年間ベースで10~20ベーシスポイント押し上げ(ガソリンを除く)

本インサイトでは開催国以外のファンに焦点を当ててきましたが、最後は米国内に目を向け、FIFAワールドカップ26™が2026年6月の米国経済に与えた可能性や影響について検証します。

一般的には、米国は「サッカーの国ではない」と考えられているため、大会が消費支出の成長率を10~20ベーシスポイント押し上げた可能性があるという見方は意外に感じられるかもしれません。しかし、当社の調査では、その認識はすでに変わりつつあることが示されています。2026年4月にVisaが実施した独自調査によると、FIFAワールドカップ™の視聴意向は世代によって大きく異なりました。ベビーブーマー世代およびシニア層では視聴予定者の割合が29%にとどまった一方で、Z世代およびミレニアル世代では半数を超える回答者が視聴を予定していました。
また、全世代を通じて米国代表を応援するとの回答が最も多かったものの、良い試合はどこの試合であっても観戦したいと考える人も多く、特に若年層では他国代表を応援する傾向も見られました(詳細は英語のフルレポート参照)。

こうした他国代表への関心は、スター選手の存在によるものかもしれませんが、自らのルーツへの愛着も影響している可能性があります。FIFAワールドカップ™による消費押し上げ効果という観点では、米国に住む移民コミュニティの母国への誇りが重要な役割を果たしたと考えられます。

この傾向は、Visa Spending Momentum Index(SMI)の2026年6月の結果にも表れています。出場国出身の移民人口比率が高い郡では、前月比の支出伸び率がより高い傾向が確認されました(詳細は英語のフルレポート参照)。さらに、州ごとの消費環境やガソリン価格の影響を統計的に調整した回帰分析では、FIFAワールドカップ™出場国出身者人口の存在が、大会予選期間中のSMIを0.2~0.4ポイント押し上げたことが示唆されました。

この結果は、FIFAワールドカップ™が地域の消費支出を統計的に有意な形で押し上げたことを示しており、前年比の個人消費支出(PCE)成長率を約0.1~0.2ポイント押し上げた可能性と整合しています(下図参照)。
 

出典:Visa Business and Economic InsightsによるVisa SMIおよびVisaNetデータ分析。
この集合縦棒グラフは、2026年6月のVisa U.S. Spending Momentum Index(SMI)について、全郡と出場国出身の移民人口比率が高い郡を比較したものです。全郡では、前月比変化率は0.57、直近3カ月のトレンドとの差は0.83となりました。一方、出場国出身の移民人口比率が高い郡では、前月比変化率は0.84、直近3カ月のトレンドとの差は1.06となりました。

 

脚注

  1. 本レポートの分析は、エンターテインメント事業者、小売事業者、食品専門店・食料品店、クイックサービスレストラン、フルサービスレストラン、バー、カフェにおける国内取引の集計データ(取引件数ベース)に基づいています。増加率は、各試合の開始前後12時間に発生した取引件数を、大会開幕前である5月下旬から6月上旬における各国の同一曜日・同一時間帯の通常時の取引水準と比較して算出しています

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