グローバル調査により「キャッシュレスシティ」がもたらす経済的恩恵が浮き彫りに

10/16/2017

2017年10月11日、米国カリフォルニア州サンフランシスコ — Visa Inc.(NYSE:V)は本日、Visaが委託し、Roubini ThoughtLab(ルビーニ・ソート・ラボ)が独自に調査した、世界各国の主要都市においてデジタル決済利用増加が与える経済的影響の結果を発表しました。本調査では、調査を実施した100都市において、カードやモバイルといった電子決済の利用拡大により年間で最大4,700億米ドルの純便益を生み出すと予測しています。この金額はこれらの都市の平均GDPの3パーセントに相当します。

「キャッシュレスシティ:デジタル決済がもたらす恩恵の実現」とは、「キャッシュレス化の達成可能レベル」に近づく都市における潜在的な利便性を数値化する独特の調査です。「キャッシュレス化の達成可能レベル」とは、ある都市の総人口によるデジタル決済利用量が、その都市の現在のデジタル決済利用者の上位10%の決済利用量に近づいた状態として定義されています。本調査は、現金の利用をなくすことに焦点を当てたものではなく、飛躍的に利用が拡大するデジタル決済の潜在的な利便性と費用の数値化を目的としたものです。

本調査は、現金の利用を抑えることで、3つの主なグループ(消費者、事業者、政府)において即時的かつ長期的な便益が生じると予測しています。本調査によると、これらの包括的かつ直接的な純便益は、調査を行った100都市全体で約4,700億米ドルにまで達する可能性があるとしています。

 

調査対象100都市の消費者は、年間280億ドル近くに及ぶ直接的な純便益を達成する可能性があります。この効果は、最大32億時間に及ぶ銀行業、小売業、運送業における業務時間の短縮や、現金にまつわる犯罪の低下といった要因によってもたらされるとしています。調査対象100都市の事業者は、年間3,120億ドルを超える直接的な純便益を達成する可能性があります。この効果は、最大31億時間に及ぶ決済の入金・送金の処理時間の短縮や、オンラインや店舗における顧客層の拡大による売上増加といった要因によりもたらされるとしています。本調査ではさらに、現金や小切手の場合、1ドル受領するごとに事業者側に7.1セントのコストが発生しますが、デジタル決済の場合1ドルの受領に対するコストは5セントである点も指摘しています。調査対象100都市の政府では、年間1,300億ドル近くの直接的な純便益を達成する可能性があります。この効果は、税収の増加、経済成長の促進、管理の効率化による費用の削減、さらに現金にまつわる犯罪の低下に基づく犯罪関連の司法費用の低減といった要因によってもたらされるとしています。

 

 

 

Visaの副会長兼チーフ・エンタープライズ・リスク・オフィサーのエレン・リッチー(Ellen Richey)は次のように述べています。「本調査は、都市部におけるデジタル決済の利用が拡大することで、消費者、事業者、さらに政府が多くのメリットを享受できることを示しています。現金からデジタル決済へ移行した社会では、大幅な経済成長、犯罪の低下、雇用の増加、賃金の上昇、労働者の生産性向上といった恩恵を受けています。」

 

都市部におけるデジタル決済の利用拡大により、消費者、事業者、政府は、金銭的な利益以上のプラス効果を得ることができます。また、デジタル決済への移行により、GDP、雇用、賃金、生産性向上といった当該都市の経済指標全般を好転させる触媒効果も期待できます。

Roubini Thoughtlab代表のルー・セリ(Lou Celi)は次のように述べています。「スマートフォンやウェアラブル端末から人工知能や自動運転車といったデジタル・テクノロジーの普及により、都市における購買、旅行、生活の仕方は急速に変貌しています。今回の当社の調査は、電子決済の確固とした基盤が構築されない限り、各都市はデジタル化した将来の社会に完全に対応することができないということを物語っています。」

「キャッシュレスシティ:デジタル決済がもたらす恩恵の実現」には、デジタル決済の利用拡大により都市における効率性を向上させるための、政策立案者に対する61のアドバイスが含まれています。

これらのアドバイスには、非銀行利用者に銀行の利用を促すための金融リテラシー・プログラムの実施や、新たな決済テクノロジーの普及に向けたイノベーションを触発するためのインセンティブの導入、あらゆる輸送ネットワーク全体に対する安全なオープンループ決済システムの構築などが含まれています。

VisaおよびRoubini Thoughtlabは、「キャッシュレスシティ:デジタル決済がもたらす恩恵の実現」のガイドとしてオンラインでのデータ視覚化ツールを開発しました。「本データ視覚化ツールを使用することで、本調査に含まれる100都市のデジタル決済利用レベルを増減することができ、現金の利用を削減した社会で受けることができる便益をより詳細に確認することができます。オンラインのデータ視覚化ツールおよびレポート(英語)のダウンロードはこちらからできます(www.visa.com/cashlesscities)。

 

調査方法

大手経済調査会社で証拠に基づくサービスを提供するRoubini Thoughtlabは、2016年にデジタル決済の普及率が異なる6つの都市(東京・シカゴ・ストックホルム・サンパウロ・バンコク・ラゴス)において消費者3000人と企業900社を対象に調査を行いました。本調査では、利用やアクセプタンスの状況、現金および電子マネーへの費用便益効果を調べました。さらに調査対象の特定の層や経済データに基づく調査結果を別の94都市にあてはめ、各都市において、キャッシュレスな経済社会への移行が消費者や企業に与える影響を調べました。またその他の情報も利用し、本調査では政府に対して予測される影響を特定することもできました。本調査では世界銀行、経済協力開発機構、およびその他の世界的に評価の高い二次データソースを用いて調査結果の内容を補完し、全体的な調査結果をまとめました。全英経済研究所世界モデル(NiGEM:さまざまな中央銀行およびその他の金融機関で使用されている経済モデル)を使用して、デジタル決済への移行が100都市のそれぞれに与える「触媒」効果(経済成長、生産性、雇用、賃金)を予測しました。本調査はVisaが委託し、Roubini Thoughtlabが独立して調査の実施、調査結果の管理および分析を行いました。

 

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ビザ・ワールドワイドについて

ビザ・ワールドワイド(以下、Visa)は、電子決済の世界的リーダーです。Visaのミッションは、最も革新的で信頼性が高く安全な決済ネットワークで世界を結び、個人や企業、そして経済の繁栄に貢献することです。Visaが保有する最先端のグローバルなプロセシングネットワークであるVisaNetは、毎秒65,000件を超す取引を処理することができ、世界中に安全かつ信頼のおける電子決済を提供します。Visaは常にイノベーターであり続け、あらゆるデバイスを利用した商取引の発展を促進し、誰でもどこでも利用できる夢のキャッシュレス社会を実現する原動力となっています。世界がアナログからデジタルに移行しつつある今、Visaは自社のブランド、商品、人材、ネットワーク、および企業スケールを活かして商取引の未来を形作っていきます。詳しくは、usa.visa.com/aboutvisa(英語サイト)またはwww.visa.co.jp(日本語サイト)をご覧ください。